ワセダシカ コラム

2022/02/15歯科衛生士国家試験は難しい?合格率や過去問題も紹介

歯科衛生士になるためには、大学や専門学校などで歯科衛生士の養成課程を修了し、「歯科衛生士国家試験」に合格しなければなりません。

講義や実習から成る専門課程を修了した学生の場合、しっかりと授業内容が頭に入っていれば確実に合格が狙える試験ではありますが、「国家試験」という名がつく以上、「難しい試験なのではないか」といった不安を抱く方も多いでしょう。

そこで今回は、歯科衛生士国家試験の難易度や過去の合格率、出題範囲や過去に出題された問題の事例なども含めて詳しく紹介します。

歯科衛生士国家試験の概要

 

はじめに、歯科衛生士国家試験の概要から紹介しましょう。

歯科衛生士国家試験とは、財団法人歯科医療振興財団が実施している国家試験です。歯科医院では歯科医が不可欠な存在ですが、歯科医一人だけでは患者のサポートやこまめなケア、治療に必要な器具の準備などは手が回らないものです。

そこで、歯科治療における専門的な知識をもち、歯科医をサポートする立場の歯科衛生士という職業があります。

歯科衛生士になるためには歯科衛生士国家試験に合格することが必須条件となっており、毎年多くの受験者が試験を受験しています。

受験資格

歯科衛生士国家試験を受験するためには、以下の3つの項目のうちいずれかを満たしていることが条件となります。

 

  1. 1.文部科学大臣の指定した歯科衛生士学校を卒業した者(令和4年3月15日(火)までに卒業する見込みの者を含む)
  2. 2.都道府県知事の指定した歯科衛生士養成所を卒業した者(令和4年3月15日(火)までに卒業する見込みの者を含む)
  3. 3.外国の歯科衛生士学校を卒業し、または外国において歯科衛生士免許を得た者であって、厚生労働大臣が1または2に掲げる者と同等以上の知識および技能を有すると認めた者

 

なお、上記のなかで「歯科衛生士学校」と「歯科衛生士養成所」という表記がありますが、歯科衛生士学校は大学や短期大学、歯科衛生士養成所は専門学校のことを指します。

すなわち、大学・短期大学、または専門学校で所定のカリキュラムを修了していない場合、歯科衛生士国家試験の受験資格はないことを意味しています。

試験日程

歯科衛生士国家試験は、例年3月の第一日曜日に実施されます。ちなみに、2022年の試験日程は3月6日(日)です。

受験のチャンスは年に1回のみということもあり、試験日に合わせて入念な準備や対策、体調管理が不可欠といえるでしょう。

また、試験は午前(9:30〜12:00)、午後(13:30〜16:00)に分かれており、トータル5時間の試験となります。

試験会場

厚生労働省のWebサイトでは、歯科衛生士国家試験の試験会場は以下の10か所と公表されています。

 

  1. 北海道
  2. 宮城県
  3. 東京都
  4. 新潟県
  5. 愛知県
  6. 大阪府
  7. 広島県
  8. 香川県
  9. 福岡県
  10. 沖縄県

 

ただし、会場は各都道府県に1か所とは限らず、たとえば2021年の試験会場は以下の14か所で実施されました。

 

北海道:天使大学

宮城県:東北大学(川内キャンパス)

東京都:成蹊大学

新潟県:日本歯科大学新潟生命歯学部

愛知県:TKPガーデンシティPREMIUM名古屋 新幹線口

TKP名古屋栄カンファレンスセンター

TKPガーデンシティ名古屋

TKP名古屋伏見ビジネスセンター

大阪府:ATCホール

広島県:広島工業大学専門学校

TKPガーデンシティPREMIUM広島駅前

香川県:香川短期大学

福岡県:福岡大学

沖縄県:国際電子ビジネス専門学校

合格発表

歯科衛生士国家試験の結果は、例年3月下旬頃に一般財団法人歯科医療振興財団のWebサイト、および厚生労働省の「資格・試験情報」のWebページ上で、受験地と受験番号を掲載のうえ発表されます。

なお、2022年の試験合格者は3月25日(金)14時から公開される予定です。

歯科衛生士国家試験の難易度

 

歯科衛生士国家試験は、大学や専門学校などで所定の課程を修了していることが受験資格として定められていることもあり、合格率は例年95%前後で推移しています。

2021年に実施された試験では、7,099名が受験し6,624名が合格。実に93.3%という高い合格率を誇ります。さらに、過去5年間の合格率は以下の通りとなっています。

 

2017年:93.3%

2018年:96.1%

2019年:96.2%

2020年:94.3%

2021年:93.3%

 

試験自体は決して簡単な内容ではありませんが、上記の合格率を見ても分かる通り、しっかりと試験対策をしておけば確実に合格が狙えるはずです。

歯科衛生士国家試験の出題範囲と問題例

 

では、歯科衛生士国家試験では実際にどのような問題が出題されるのでしょうか。試験に出題される科目の範囲と、過去に出題された問題例をあわせて紹介しましょう。

歯科衛生士国家試験の出題範囲

歯科衛生士国家試験で出題される範囲は、以下の9科目となっています。

なお、試験は午前と午後に分かれていると紹介しましたが、出題数はともに110問。トータル5時間で220問の問題を解く必要があり、いかに集中力を維持できるかも重要なポイントといえるでしょう。

ちなみに、試験はいずれもマークシートによる択一式の問題であり、実技試験や小論文などはありません。

 

  1. ・人体(歯・口腔を除く)の構造と機能
  2. ・歯・口腔の構造と機能
  3. ・疾病の成り立ち及び回復過程の促進
  4. ・歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み
  5. ・歯科衛生士概論
  6. ・臨床歯科医学
  7. ・歯科予防処置論
  8. ・歯科保健指導論
  9. ・歯科診療補助論

 

歯科衛生士国家試験で過去に出題された問題例

最後に、これまで実施された試験で実際に出題されたことのある問題例をいくつか紹介しましょう。

 

Q1.

「リパーゼ」が分泌される器官はどれか。

a 胃

b 肝臓

c 耳下腺

d 膵臓

 

 →解答.d

 

Q2.

SPTについて正しい説明はどれか。

a  歯周治療におけるメインテナンス

b  歯肉形成術

c  機械的歯面清掃

d  歯石の除去

 

 →解答.a

 

Q3.

70歳の男性患者に対し、歯石除去のために超音波スケーラーを使用していた。すると、男性は頻繁にむせてしまい、苦しそうにしている。今後スケーリングを続けるために適切なものはどれか。二つ選べ。

a  患者に我慢するように伝え超音波スケーラーでのスケーリングを続ける

b  手用スケーラーでスケーリングを行う。

c  ユニットの位置を調整する

d  浸潤麻酔を使用してむせないようにする

 

 →解答.b c

歯科衛生士国家試験の対策は万全に

歯科衛生士を目指しこれから進学を検討している方にとって、最終関門である国家試験の難易度は気になるポイントといえるでしょう。しかし、今回紹介してきたように、大学や専門学校で学んできた内容をしっかりと押さえておけば、十分合格が狙える試験です。

「国家試験に合格する自信がないから進学は諦めよう」と考える必要はなく、できることから少しずつ対策を講じておくことが重要です。